創業融資、個人事業or法人設立、どちらが有利?
こんにちは、独立・開業・創業融資支援センターの公認会計士・税理士の安藤です。
年間100件以上の創業融資サポートをしてきた私が、「法人or個人事業主の違い」についてお話しさせていただきたいと思います。
- 創業融資における法人or個人事業主の有利不利が理解できる
- 法人と個人事業主それぞれのメリット・デメリットが理解できる
- ざっくりとは理解したが、法人or個人事業主どちらにすれば良いか悩ましい
- 専門家により詳しく両者のメリット・デメリットについて聞いてみたい
融資の場面においての有利不利は?
融資相談の電話口や実際に融資相談に来られるお客様の中にも、事業をしようと考えているけど、法人として会社を設立するか、個人事業主として開業されるか悩まれている方が多くいらっしゃいます。
結論としては、そこまで変わらないというのが私の考えです。
法人であっても個人事業主であっても、融資を受けたいのであれば、このブログで繰り返しお話してきたように、
✅自己資金額
✅CICに傷がないか
✅開業分野に対する経験の有無
✅創業計画書と面談結果が良好であること
この4点さえ満たせば、法人であっても個人事業主であっても変わらず融資を受けることが可能ですので、両者間の優劣はあまりないという印象です。
また、違いが一点あるとすれば、利率的な話ですが、日本政策金融公庫の「新創業融資」を使う場合には、法人代表者が連帯保証人となることで利率が0.1%軽減されるといったものがあります。
ただ、その部分だけの違いですので、大きく違うとは言い難いと思います。
融資以外の場面での有利不利は?
ただ、「融資の場面」のみで考えれば、法人と個人事業主にそこまでの違いはないといえますが、他のさまざまな観点から考えれば、両者間では当然のことながら、大きく差が存在しますので、慎重にどちらを選んで開業するかを考えなければいけません。
法人・個人事業主、それぞれのメリットやデメリットは?
まず最初に下記の表をご覧ください。
それぞれ上から順に解説していきますね。
維持のためのランニングコスト
法人<個人事業主となります。
どんなものがあるかを下記に記載していきます。
✅設立登記や定款の作成等にかかる費用
・個人事業主→届出を出すだけなので、一切お金はかかりません
・株式会社→20万程度
・合同会社→5-6万程度
個人事業主は本人の手間だけで、一切費用はかかりませんが、株式会社と合同会社などいわゆる法人形態においては、上記が必要になってきます。(どちらの場合も司法書士を通さない場合での費用ですので、依頼した場合は、ここから更に10万円程度上乗せとなります)。
✅法人住民税の均等割
・法人→例え赤字であっても、上記の名目の税金が毎年約7万円ほどかかります。
・個人事業主→赤字であれば事業に係る税金はかかりません。
この税金はたとえ赤字でも必要となりますので、ランニングコストとしては結構重ためのものとなります。
✅普段の会計処理や決算処理の複雑さ
個人事業主の場合は、青色申告を行う場合を除き、簡易帳簿での記帳が認められていますが、法人の場合は、下記のような
・貸借対照表
・損益計算書
・法人決算書
などのいわゆる簿記的な知識が必要となる書類の作成が必要となってきますので、手間的な部分も考えるると、必然的に税理士費用等に依頼するケースがほとんどのため、ランニングコストもかかってくることが多くなります。
社会的信用やブランド形成の観点
こちらは相対的に法人の方が高くなります。
例えば、企業としてのブランド価値を時間をかけて構築していきたい場合には、その会社の持つ歴史というものが取引先やエンドユーザーにとって重要となってきます。
事業をやっていく中で、そういった目的があるのであれば、法人での設立をオススメしますが、とくにそういったものを必要としない場合は個人事業主でもなんらデメリットはありません。
節税のしやすさ
これは一般論での話となりますが、常に事業が赤字ではないという前提となりますが、法人の方が有利といわれることが多いです。
なぜかというと個人事業主の場合は、払うことになる税金は、所得税という名前の税金ですので、超過累進税率を採用しています。
簡単にいうと、上記は所得が増えれば増えるほど税率が高くなる仕組みとなっていますので、ざっくりですがある一定のライン(300万円)を超えたら法人の方が有利であることが多いといえます。
※また、これは豆知識ですが、個人事業主でも法人でも例外を除けば、2期間の消費税免除制度があります。
これを利用するには、まず個人事業主で開業→2年間実績を作って2期終えた段階で法人成りという形にすれば、マックスで4期間消費税免除の恩恵が受けれることになります。
リスクヘッジの観点
法人で融資を受けておけば、基本的に返済に行きづまった際には無担保無保証の融資においては経営者個人としての責任は免除されますので、事業自体は断念せざるを得ないかもしれませんが、借金だけはなくなりますので、個人でのやり直し自体はききやすいかもしれません。
ただ、法人化するということは最初に述べたようにランニングコストも何倍もかかりますので、法人化をすれば事業状況が悪い場合はもっと大変な目に合う可能性も否めません。
最後に
最悪の場合、個人的に借金を負っていくのは辛い。。。という見方だけすれば上記のようにリスクヘッジを考えるべきかもしれませんが、それだけのために法人化するというのも考えものでしょう。
年間100件以上の会社設立業務・創業融資サポートをしてきた私が、懇切丁寧にサポートを行い、融資確率を上げるお手伝いをさせていただきます。