雇用調整助成金を活用しよう
雇用調整助成金とは
新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、やむを得ず従業員に対して休業してもらわなければならない事業者が増えています。
そのような時に、ぜひとも活用したい助成金制度が厚生労働省が特例処置として実施している「雇用調整助成金」です。
雇用調整助成金は、会社・個人事業主が支払う休業手当額の一定割合を政府が肩代わりする制度です。従業員に直接支給されるものではありませんが、会社側が従業員に支給する休業手当の原資になるため、雇用を維持しやすくなります。
雇用調整助成金に関する詳しい説明は、厚生労働省ホームページよりご確認ください。
政府は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、2020年4月1日~9月30日(制度拡充により6月30日より延長)を緊急対応期間と位置づけ、新型コロナウイルス感染症に係る特例が設けられました。
今回は、新型コロナウイルスによる業績悪化を受けて従業員を休業させた場合を想定し影響の大きい箇所に絞って解説します。
助成率・日額上限額の引き上げ
雇用調整助成金は、景気変動などによって、会社の業績に悪影響があった場合に、会社側が行った雇用調整(休業・教育訓練・出向などの措置)に対して助成金を支給することにより、従業員の雇い止めや解雇を防ぐためにあります。
今回の特例措置は、新型コロナウイルスの影響により業績が悪化したなどの理由によって、事業主が休業手当を支給して従業員を休ませた場合に、その費用の一部を政府が助成するものです。
(参考)はじめての雇用調整助成金(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/000633288.pdf)
雇用調整助成金は、会社が従業員に支払った休業手当に相当する額に、助成率を乗じて算出します。
この助成率が、特例措置により「中小企業は2/3から4/5」に、「大企業は1/2から2/3」に引き上げられています。
変更前 | 変更後(解雇有) | 変更後(解雇無) | |
中小企業 | 2/3 | 4/5 |
10/10 |
大企業 | 1/2 | 2/3 | 3/4 |
また、解雇をおこなわなかった場合、この助成率はさらに引き上げられ、中小企業は一律で10/10(制度拡充により引上げ)、大企業は3/4となります。
また、雇用調整助成金の支給上限額は、1人1日当たり8,330円となっていましたが、制度拡充により15,000円まで引き上がりました。
小規模事業者の給付申請が簡素化
新型コロナウィルス感染症の影響を受ける事業主を支援するため、4月1日~9月30日の緊急対応期間中は、全国で、全ての業種の事業主を対象に、雇用調整助成金の特例措置が実施されています。
今回の特別処置のなかでも小規模事業主について、支給申請が以前よりも簡素化されました。ここではその内容を紹介しています。
対象となる小規模事業主とは、従業員が概ね20人以下の会社や個人事業主の方です。
参照:厚生労働省資料「雇用調整助成金の申請書類を簡素化します」
1. 休業等計画届の提出は不要
これまでは、申請前に「何人の従業員が何日間休業するか」といったことを記載する「休業等計画届」を提出する必要がありました。
しかし、特例措置では事前の提出不要、特に5月19日以降の緊急対応期間中に限り、提出そのものが不要になりました。
2. 実際に支払った休業手当で助成額を算出
これまでは、助成額を算定するために、「前年度の賃金総額」「従業員数」「年間所定労働日数」などの数値を細かく記載し、従業員1人当たりの平均賃金額を算出しなければなりませんでした。
しかし、特例措置では、従業員20人以下の会社を対象に「実際に支払った休業手当額」をもとに助成額を算出できるようになりました。
雇用保険の適用外であるアルバイトも対象に
従来は雇用保険被保険者の休業に限られていましたが、緊急対応期間中は雇用保険被保険者でない労働者(週所定労働時間20時間未満など)の休業にも、「緊急雇用安定助成金」として支給されることになりました。
そのため、助成金を受給する前に、従業員に先に休業手当を支払う必要がありますが、たとえアルバイトであっても、正社員と同じように休業手当を支払いやすくなります。
アルバイトの契約書に「週3日出勤」と書いてあれば、週3日分の休業手当が支給額になります。
また、契約書がなくても口頭で「週3日は出勤してほしい」というような指示や慣行が定着していれば、週所定労働日数3日として認められ、契約書があるのと同じです。
まとめ
雇用調整助成金は、政府が新型コロナ対策の柱として拡充を急ぐ施策です。
afterコロナを見据えつつ、今後の経営を安定させるために、雇用調整助成金を最大限活用することが重要となっています。
とくに中小企業では、事業再開に不可欠な人材をつなぎとめるための手段としても、休業期間中の給与全額を支給することが望ましいでしょう。
労働者の雇用をいかに守れるか、各企業の自力が問われています。
Categorised in: 補助金・助成金